以前にNW-S706Fと1st nanoを比較したとき<記事は
こちら>は、「その3」まである長文記事にしましたが……今、あれほど長い文章を書くのはムリなので、今回は簡潔にします。比較音源は前と同じくCD「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T.+」のプレス盤で、使うファイルは左記CDから作ったAAC(192kbps・VBR)。音場等のイコライジング設定は、すべてデフォルト。イヤホンは今回オーディオテクニカのヘッドホン・ATH-AD700(高域寄りでちょっとクセの強いオープンエア式ヘッドホン)のみとします。また、リファレンスプレーヤーとしてソニーのCDウォークマン・D-EJ2000(現在のMP3 CDプレーヤーでなく生粋の音楽CD専用プレーヤーとして最後の世代の製品)を使います。
[デザイン編]
携帯デバイスは、デザインの善し悪しも重要なファクターです。
とはいえ、デザインの善し悪しを決めるのは個人の感性ですから……勝ち負けではないですな。
個人的には、4th nanoのシンプルかつ曲面的なフォルムの方が好きです。
[音質編]
D-EJ2000の音が最も自然でツヤのある音なのは当然なんですが……NW-S739Fは、それに肉薄する音を出しているように感じます。透き通る高音、低音の伸び、なかなかのものだと思いました。ただ、悪く言えばドンシャリ傾向にあるともとれます。
一方の4th nanoは、全域にわたって音の伸びがそこそこに留まってしまう感じです。特徴もヘンな傾向もない、素直な音ともいえます。
個人的には、NW-S739Fの方が好きな音です。ただ、使うイヤホン/ヘッドホンにより音の傾向は変わったりしますので、あくまで参考程度で。
[使い勝手編]
NW-S739Fのインターフェイスは、ケータイと同様に十字キーで操作する、実にシンプルでわかりやすい形になってます。NW-S706Fみたいな独特の操作は必要ないので、多くの機能も直感的に操作できます。
4th nanoは、iPod特有のホイールコントロールを継承しています。2ndまでの味気ないインターフェイスと違って非常にグラフィカルなインターフェイスでして、使っていて楽しくなります。
どちらが優れているとは言い難いのですが……個人的にはnanoの方が好きですかね。
[スタミナ編]
スタミナは、NW-S739Fの方が上だと思います。けど、4th nanoもなかなかのもんで、結構もちます。1時間でも長くもってほしいという方には、NW-S739Fがオススメです。
[管理ソフト編]
前も書きましたが、Appleの統合音楽管理ソフト・iTunesは非常に良くできたソフトだと思います。最新バージョンは8まで進化しましたけど、前から大きくは変わっていません。プレイリスト作成・管理がwindows的な手順でできるのと、iPodとの連動機能が強力でiTunes側の更新条項はつなぎさえすればすべてiPodに反映してくれる点は健在。大きなメリットです。ただ、問題は“カバーフロー”などで使うジャケットイメージの収集と設定。これがどっちもイマイチなんです。楽曲をiTunes Storeで買う人は全然問題ないでしょうけど、自分でCDとかからライブラリを作ろうと思っている人は設定に相当苦労すると思ってた方がいいです。
対してソニーの管理ソフト・SonicStageは、CPからVに進化しました。プレイリスト作成が楽な点は変わっておらず、メリットです。ジャケットイメージの収集と設定は……前は「あまり使いやすいとは言い難い」と書きましたが、iTunesよりは若干マシです(ただ、画像の収集は結局のところ、iTunesやSonicStageに任せず、ネットで集めて自分でイメージを作る方が早いです)。あと、SonicStage上の更新事項がウォークマンに反映されない点は変わっていません。これは最大の欠点ですね。何とかできないんでしょうか?
前はiTunes圧勝でしたけど、SonicStageもVになって良くなりましたので、今では差は小さくなったと思います。優劣をつけるなら、iTunesの方がまだ上かと思いますけどね。
[総合評価]
どっちも素晴らしい製品ですよ。NW-S706Fと1st nanoのときよりも差異がなくなったとは思いますが……今回も「機能・音質でウォークマン/使い勝手でiPod nano」ってところですかね。音質といったってじっくり聴き比べて初めてわかる程度の差ですし、どちらも完成度の高い製品ですから、もう「ノイズキャンセリング機能とかFM受信機能が欲しければウォークマン、必要なければiPod」という選択でもいいかと。デザインの好みで決めても全然問題ないです。
ちなみに私は、NW-S739Fにジャズ/洋楽/邦楽、4th nanoにアニソンその他を入れて両者を使い分けています。片方だけでももちろん楽しめると思いますし、両方持っても性格の違いから使い分けて楽しむこともできるでしょう。